術後に転移や再発が認められた場合,食道癌ではその時点で根治性が失われたことを意味することがほとんどである。しかし早期のうちに転移や再発巣が発見できれば再切除の可能性もあり,また根治性がない場合でも愁訴緩和のための治療は必要となる。一方,異時性多発・重複癌に対するフォローアップは食道癌術後ではとくに重要であり,食道癌手術で得られた根治性を損なわないよう,早期のうちにこれを発見して治療を完了していただきたい。食道は口から胃まで食物を送り込む、長さ約25cm、幅2cmの筒状の消化管で頚(くび)から胸の中を通りお腹の中で胃に通じています。飲み込んだ食べ物は食道の蠕動運動により胃へと流れていきます。
頚部・胸部・腹部食道と3部に区分され、胸部食道はさらに上部・中部・下部と分かれます。
胸の中では肺と気管や心臓、大動脈といった重要な臓器に囲まれて存在します。
筒になっている壁(食道壁)は内側から外側へそれぞれ粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜と呼ばれる層に分かれます。
食道癌の発生悪性新生物による死亡原因として、食道癌の死亡率は男性では第6位、女性では第13位とそれほど高くありませんが、徐々に増加しています。
食道癌の発生に関してはこれまでに非常に多くの研究がなされてきていますが、癌発生のメカニズムは複雑であり決定的な答えは得られていません。現時点では、遺伝的因子も重要ですが、環境的因子の影響がより大きいのではないかと考えられています。特にアルコールとタバコは食道癌の危険因子です。
食道癌の症状早期のものは無症状で、健診などで発見されることが多いです。進行した癌では食事のつまり感や、飲み込みにくいといった症状が出現します。胸痛、吐き気や食欲不振、体重減少などもあります。頚部のリンパ節腫脹や嗄声(声がかれること)を契機で見つかることもあります。これは「反回神経」と呼ばれる発声を司る神経が、その神経に近いリンパ節転移の影響で麻痺することによります。
食道癌の診断1:上部消化管内視鏡
胃カメラと呼ばれるものです。食道は胃へつながる食べ物の通り道ですので、カメラが胃へ行くまでに食道の観察ができます。
食道の検査には「ルゴール」と呼ばれる特殊な液をまきます。正常な食道粘膜は茶色く染まりますが、癌などの病変があると染まりません(これを不染帯と呼びます)。染まらなかった病変部位から「生検」といって組織をほんのひとかけらつまんできて、顕微鏡の検査で悪性か否かを判定します。
2:上部消化管透視
造影剤を飲む検査です。癌が食道のどの位置にあって、どの程度の狭さになっているのか評価します。
3:CT、MRI
癌がどのくらい進行しているか、他の臓器(気管・大動脈・心臓など)への浸潤はないか、肝臓・肺などに転移はないかを調べます。
当院では浸潤の有無をより性格に判定するため、MRIの際に水を飲んでいただき、食道の蠕動波(動き)をみて、浅いものか深いものかを判定する、シネMRI(動画撮影)も同時に行っています。
4:頚部・腹部超音波検査
リンパ節や肝臓への転移がないかを調べます。レントゲンの検査でないので、すべての方に安全に受けていただけます。
5:FDG-PET
癌の全身検索のために行います。CT・MRI・超音波では同定できない病変の検出に有効です。腫瘍など細胞の増殖が盛んな細胞は糖の取り込みが活発なことを利用しています。そのほかに超音波のついた内視鏡で正確な進達度を測る超音波内視鏡、食道癌が気管に浸潤している可能性のある方に行う気管支鏡などを行うこともあります。
これらの検査で病気の進み具合(病期あるいはステージ)を定め、治療方法を決定します。
食道癌の進行度、病期(ステージ)食道癌は食道の粘膜から発生し、はじめは粘膜内にとどまっていますが、進行するに伴って次第に粘膜下層、筋層、外膜へと達します。また、進行する過程で一部の癌細胞は血管やリンパ管に入り込んでリンパ節に飛んだり(リンパ節転移)、肝臓や肺などの離れた臓器に飛んだりします(遠隔転移)。
どのくらいの深さまで食道癌が達しているか(壁深達度)と転移の状況から食道癌の進み具合がきまり、それにより治療方法も異なってきますので、先に述べたような十分な検査により進み具合を把握することが重要になります。
壁深達度
食道癌はその深さによって下図のようにTis(上皮内癌)、T1a(粘膜筋板まで)、T1b(粘膜下層まで)、T2(筋層まで)、T3(外膜まで)、T4(周囲臓器に浸潤)に分類されます。
胃癌や大腸癌は粘膜下層までの浅い癌(T1)を「早期癌」、筋層あるいはそれ以上に深くまで広がっているものを(T2-T4)「進行癌」としています。
しかし食道癌はたとえT1b程度に浅くても早くからリンパ節転移を起こすことが稀ではないのでT1のものは「表在癌」とよび、
食道は先にも述べましたように3つの部位に分かれます。それぞれの部位で手術術式が変わります。
頚部に癌がある場合、声帯がすぐそばにあるので、声帯を一緒に切除することが多くなります。切除した場所にはおなかから小腸を持ってきて、のどと残った食道につないで食べ物の通過経路をつくります。小腸はおなかから切り離しているので、小腸の栄養血管と、のどの血管をつなぐ血管吻合が必要です。
胸の中にある食道の場合、両横は肺、前は気管または心臓、後は背骨や大動脈に囲まれています。したがってこれを取り出すには右の胸をあけて(開胸といいます)右の肺をしぼめ、真ん中にある食道に到達するのが一般的な方法です。そうして食道の病巣と転移の可能性のある食道周囲と胃周囲のリンパ節を切除します。頸部以外の食道全てと胃の1/3が切除されることになります。
食道をとったあとの食べ物の通り道は、一般的に残った胃を細長く管状にのばして(これを胃管といいます)持ち上げ、くびの食道とつなぎます(下の図をご参照ください)。したがって開胸だけでなく、お腹もあけて(開腹といいます)、くびも少しあけて手術をすることになります。以前に胃を切除する手術を受けている方は大腸を使うこともあります。持ち上げた胃管や大腸の血流が心配な場合はそれらの内臓の血管と首に近いほかの血管をつないで、持ち上げた内臓の血流をよくする場合もあります。
お腹の食道の場合は開腹して胃をすべて取る手術をします。胸の中の食道近くまでとらなければならない場合は、少し横隔膜をきって胸の中に入ることもあります。
術式によって多少異なりますが、術後1週間から10日ぐらいで水を飲んだり食事ができたりするようになります。順調なら術後3〜4週間で退院できます。あとに述べる低侵襲な内視鏡下手術(胸腔鏡および腹腔鏡手術)だと2週間ぐらいで退院できる方も出てきました。
癌が食道の粘膜内までのものではリンパ節転移がほとんどないため、内視鏡的治療の適応と考えられています。カメラをのんで粘膜だけを取ってきます。
3:放射線治療
粘膜癌など比較的早期のものや逆に周囲臓器に浸潤のあるもの、遠隔のリンパ節に転移のあるものに適応となります。通常、次に述べる化学療法を併用します。
4:化学療法
抗癌剤治療のことです。通常シスプラチンと5FUという薬を使います。遠隔転移があるステージWaに対して、あるいは放射線治療と併用して行われます。
当診療科の食道癌治療方針現在、食道癌の診療ガイドラインでは、手術療法と放射線化学療法が多くの領域で同等の治療成績という
咽喉頭領域は通常の内視鏡検査では見落としがちであり,また技術的にも難しい。術後の内視鏡検査ではルーチンに声帯や梨状窩を確認する習慣をつけ,咽喉頭癌を見落とさないようにしなければならない(図4)。咽喉頭癌は早期のうちに発見できれば放射線治療で根治が期待できるからである。また咽喉頭癌の頸部リンパ節転移の分布は胸部食道癌の転移領域と異なることを知っていれば,頸部超音波検査のフォローアップから咽喉頭癌を逆に発見できることもある。胸部食道癌の頸部リンパ節転移の好発部位は101および104であるが,咽喉頭癌ではより外側,より頭側のリンパ節に転移を起こす特徴があるからである(図5)。
C食道癌術後フォローアップのスケジュール
われわれの行っている胸部食道癌術後フォローアップのスケジュールを図6に,その留意点を表1に示す。根治的手術が行えた場合には定期的なフォローアップの検査はSCCやCEA,CYFRAなどの腫瘍マーカーを含めて血液検査は1〜3カ月に一度,頸部・腹部超音波検査,胸部CT検査は半年に一度,内視鏡検査は1年に一度でよいと考えている。この間隔よりも短期間のうちに再発・転移する場合は,根治的な治療は困難であるsystemic diseaseであると考えられる。また,食道癌において血清Ca値は一種の腫瘍マーカーであり,高Ca血症は転移や再発がかなり進行していることを意味しており血液検査時には必ず加えなければならない。
位置づけになっています。当診療科では、食道癌の外科治療成績を踏まえて、独自の治療プランを患者さんに提示しています。
放射線化学療法を受けて完全治癒となった後に再発を認めた方や、完全治癒が得られなかった方を合計すると、放射線化学療法を受けた半数前後の方は、癌の再発や遺残を認めます。その場合に、もともと食道癌があった場所を中心に癌が局所にとどまっていると考えられる患者さんに、追加で食道癌切除を行うのがサルベージ手術です。
高線量による根治的放射線化学療法後は、照射部位に放射線の影響が強く残り、手術後の合併症の発生率が高く、非常に危険度の高い手術です。
サルベージ手術を希望される場合は、危険度が高いことを十分ご理解いただく必要があります。また、明らかに根治性がない場合や、手術による危険度が非常に高いと判断した場合に
は、当診療科では手術適応なしと判断することもあります。
以下に当診療科を受診される患者さんにお勧めしている食道癌の進行度別の治療法を紹介し
ます。
昔は食道癌の手術というと大手術で、成功するかどうかが問題となっていましたが、最近
は、食道癌は、かなり安全にできる手術でなおせる時代になりました。さらに医学の進歩により、より低侵襲で患者さんの負担を少なくする手術が開発されました。
当科ではカメラを挿入して(胸で使うときは胸腔鏡、お腹で使うときは腹腔鏡と呼びます)モニターに映し出しながら鉗子(かんし)と呼ばれる器具などを用いて、開胸や開腹をせず
に行ういわゆる「内視鏡下手術」を実施しています。術後の回復も早く、負担も少なくなり、退院も早くなります。
全員の方にできるわけではありませんので、担当医より可能かどうか説明させていただきます。
食道癌手術後のフォローアップには二つの目的がある。一つは原疾患の再発や転移を早期発見することであり,今一つは残存食道の異時性多発癌や,食道以外の臓器における異時性重複癌の早期発見・早期治療である。食道癌は他の消化器癌に比べて癌の生物学的悪性度が非常に高いために,手術後のフォローアップの目的や意義が他の癌とは異なる側面がある。また転移,再発のパターンや異時性重複癌の発生臓器も他の消化器癌とは異なる特徴をもつことから,術後フォローアップにおいてはこのような食道癌の臨床的特徴をよく理解しておくことが重要である。本稿では食道癌の生物学的,臨床的特徴を示した上で,われわれが行っている術後フォローアップの方法と留意点について解説したい。
食道癌術後転移・再発のフォローアップ
一般的な胸部食道がんの場合、食道を切除するためには開胸といって胸を開けることが必要になります。食道は心臓の裏、背骨の前にあり、通常は右の肋骨の間を分けて食道まで到達します。手術の間は右側の肺をしぼませておいて、左側の肺だけで呼吸をすることになりますが、手術中は人工呼吸器を使って行いますので心配ありません。開胸操作が終わった段階で右肺をもとのように膨らませますが、一部の膨らみが悪いまま無気肺という状態になったり、痰が多いときは肺炎を起こしたりすることがありますので、これらを予防するためにも、術後半日くらい人工呼吸器で加圧したり、痰を吸ったりします。この間は患者さんには苦痛のないように睡眠剤を使用します。
食道を切除した後は胃を管状にして持ち上げ(胃管といいます)、食道とつなぎます。したがっておなかを開ける手術も必要です。以前に胃の手術をしていたり、食道癌と同時に胃にも病変があって胃が使えないときは、小腸や大腸を用いることもあります。食道と胃をつなぐ位置は、頚部でつなぐ場合と胸の中でつなぐ場合があります。もともとおなかの中にあった胃袋ですから、上のほうまで持ってあがるほどつっぱって、縫合不全(つないだところがうまくつかずに、内容が漏れること)の発生率が高くなります。つまり胸の中でつないだほうが縫合不全の起こる可能性は低いのですが、いったん起こると胸の中に膿がたまったりして、重篤な状態になります。どの位置で吻合するかは、もともと病変のあった部位にもよりますし、その他いろいろな条件によって決められます。
食道癌に限らず一般に癌の手術では、その臓器だけを切除するのでなくリンパ節郭清という操作が必要になってきます。特に食道癌では、比較的早い段階からリンパ節に転移してきますので、これらのリンパ節をとってくる必要があります。その際、小さな転移は肉眼的にはわかりませんから、腫れているリンパ節だけでなく転移しやすいと思われるリンパ節をまとめてとってきます。通常は縦隔(胸の中)、腹部に加えて、頚部のリンパ節も郭清します。したがって食道の手術では、むね、おなかに加えて、くびも切る必要があるのです。ただし、下部の食道の比較的早い段階の癌であった場合は、頚部の郭清を行わないこともありますし、腹部食道に限局した癌であれば開胸操作も行わない場合があります。
食道癌のリンパ節郭清に伴って、時に反回神経麻痺という後遺症が残ることがあります。反回神経というのは、声帯を動かして声を出したり、物を飲み込むときに声帯を閉めて肺のほうに食べ物や飲み物が入り込まないようにしている神経です。この神経が縦隔の上部を走っており、この神経の周囲のリンパ節は転移率が高いのでしっかり郭清することが必要です。この際神経は切離しないように注意深く行われますが、もともと転移リンパ節が反回神経を巻き込んでいる場合は切離せざるを得ない場合もありますし、切離しなくでも触っただけで、一時的に神経麻痺がくることがあります。反回神経麻痺が起こると声がかすれたり、飲み込んだときにむせやすくなったり、無意識のうちに気管に唾や飲み物が入って肺炎を起こしたり、呼吸困難になることもあります。ひどい場合は気管切開といって、のどから直径1cmくらいのチューブを入れておく必要があります。一時的な反回神経麻痺の場合は、半年以内で軽快します。これを過ぎると回復の見込みは少なくなり、ずっと気管にチューブを入れておく必要がありますが、発生が可能なタイプのチューブもあり、チューブの交換も自宅で簡単に行うことができます。当科での永久的な反回神経麻痺の発生率は約3%です。
長期的な合併症としては、胃液が逆流してきて残った食道に逆流性食道炎をおこしたり、吻合した部分が狭窄を起こしたりすることがありますが、これらはいずれも内服薬や内視鏡による拡張術で対処可能です。
以上のように、食道癌の手術というのは消化器の手術の中でも最も大きな手術です。以前に比べると比較的安全に行われるようにはなってはきたものの、手術後の合併症による死亡例もゼロではありません。当科での現在の手術関連死亡率は2%程度です。手術前から肝硬変や糖尿病など、何らかの併存症をもっている方ほど合併症発症のリスクが高くなりますので、術前に専門医とよく相談してください。また、手術症例数はもちろん、術後管理にも慣れたスタッフやICUなどの設備が充実した病院を選ぶことが大切です。
集学的治療
手術の前や後に放射線療法や化学療法を行なうなど、複数の治療法を組み合わせて根治性を高めようとする方法です。特に10年ほど前から、術前に根治量の半分、すなわち30-40Gyの放射線化学療法を行なって癌をできるだけ縮小させておいてから手術を行う「放射線化学療法+手術」という方法がいくつかの施設で行われてきました。このくらいの照射量であれば、サルベージ(救済)手術のときのように、手術が難しくなるということはありません。当科でも1998年からこの治療法をとりいれてきましたが、その結果から、今後の食道癌の治療方法を考える上で大切なことがわかってきたのです。
【当科における治療成績と治療方針】
治療方法を決めるにあたって一番大切なことは、どの治療がなおる可能性が最も高いか、ということでしょう。これはふつう「5年生存率」で表します。
一番治療法の選択が難しいステージII, IIIに限定して、当院でこれまでに放射線化学療法単独で治療された患者さんと、前述したように半量の放射線化学療法の後に手術を行なった患者さんの5年生存率を比べてみましょう。なお治療方法は、充分な説明の後患者さんが選択されたものです。線が右上にいくほど、治療成績が良いことを示します。赤い線は放射線化学療法の後に手術をした人で、このうち@は切除した組織を顕微鏡で調べたら、かなり癌が少なくなっていた人、Bはあまり癌が縮小していなかった人です。青い線は放射線化学療法だけで治療した人で、Aは治療後いったん肉眼的に癌が消えた人、Cは治療終了の時点で癌が明らかに残っていた人です。つまり、@とAは放射線化学療法がよく効いた人、ということができますが、この場合は生存率には大きな差はありません。BとCは放射線化学療法が
あまり効かなかった人であり、この場合はこれだけで治療していても2年生存は望めないわけで、途中で方針を変更して手術で切除すればBまでは生存率を上げることができます。
このように、放射線療法や化学療法は誰にでも同じ効果があるわけではありません。どの人に効くか効かないか、すなわち放射線化学療法に対する感受性を治療前に判定しようと、現
在さまざまな研究が行われていますが、残念ながらまだ決定的な方法はありません。したがって現在当科では、放射線化学療法から治療を始めた患者さんの場合も、途中で一度効果判
定を行い、このまま放射線化学療法を続行するか手術にきりかえるか、を再度検討しています。
【治療方法を決めるにあたり】
食道癌の治療は、医師から治療方針、治療期間、各治療法のメリット・デメリットなどの説
明を十分にうけ(インフォームドコンセント)、患者さんの価値観などを加味して、患者さん自身が最終的な治療方法を決定する時代になりつつあります。最近は、主治医以外の医師
の意見を聞くセカンド・オピニオンも普及してきたので、これを利用して複数の医師から意見を聞くのもよいでしょう。
食道癌の診断・治療方法は日々進歩しています。大阪医科大学一般・消化器外科では現時
点での情報を提示しながら、豊富な経験に基づいた診断と治療を行っています。
日本では年間およそ1万人が食道癌で亡くなっています。消化器癌の中では胃癌・大腸癌に比べると頻度の低い癌ですが、膵臓癌と並んで最も治療の難しい癌といえます。50歳代から60歳代にかけ発症率が高くなり、男女比は10対1と圧倒的に男性の患者さんに多くみられます。タバコや強いお酒は食道癌発生のリスクを高める危険因子とされています。これらの危険因子は舌癌や咽頭癌、喉頭癌、胃癌の危険因子とも共通するため、食道癌になった人はこれらの癌にもなりやすく、逆にこれらの癌になったことがある人は食道癌にもなりやすいといえます。
食道はのど(咽頭)と胃の間をつなぐパイプで、胃や腸のように消化機能はなく、単なる食
べ物の通り道に過ぎません。胸の中は、左右の肺がおさまっている胸腔というスペースと、中央の心臓や大動脈などのある縦隔というスペースで構成されています。食道は縦隔にあ
り、上部は気管と背骨の間、下部は心臓と大動脈、肺に周囲を囲まれています。
卵巣がん
食道内壁の粘膜は、皮膚と同じ扁平上皮からできており、日本人の食道癌のほとんど(95%
程度)はこの扁平上皮細胞から発生する扁平上皮癌です。一方欧米では胃や腸と同じ腺上皮から発生する腺癌が半数以上を占めています。これは欧米人には下部食道の扁平上皮が腺上
卵巣がん
皮におきかわるバレット食道が多いためであり、バレット食道の発生は胃液が食道へ逆流して起こる逆流食道炎と関連があるといわれて
でも、放射線化学療法で完治するケースの報告が増えており、食道癌治療の選択枝のひとつと考えられるようになってきました。当院で治療されたステージU、Vの放射線化学療法の成績では、64%の方で肉眼的にいったん癌が消失しています。しかしこのうちの約半数の方に再発が起こっていますので、最終的に完治した方は全
卵巣がん
体の27%ということになります。
具体的な治療プランは施設によって若干の違いはあるでしょうが、一般に放射線化学療法だけで治療しようとする場合は、60Gy(グレイ)くらいの量の放射線をあてる必要があります。1回(1日)に2Gyずつあてると、30回の治療が必要です。週5日照射して2日休む、というサイクルで、最低で6週間かかります。多くの方は途
卵巣がん
中で副作用のために中休みをおく必要が出てきますので、それに応じて治療期間が長くなります。副作用としては、食欲が落ちたり、身体がだるかったり、放射線をあてている部位に応じて胸やけや、のどの痛み、口内炎ができたりすることがあります。また自覚症状のない副作用として、骨髄の機能が低下して白血球や血小板の数が減ることがありますので、治療中は定期的に採血をする必要があります。これらの副作用は、治療後1ヶ月もすれば消失しますが、晩期毒性といって、何ヶ月もたってから出てくる副作用もあります。特に放射性肺臓炎をおこすと、重症の場合は命にかかわることもあります。肺や心臓のまわりに水がたまることもあります。
卵巣がん
これらはいったん起こると利尿剤などを飲んでも治りにくく、水の量が多くなって心臓や肺を圧迫する場合は、針で水を抜く場合もあります。晩期毒性の発生は数%程度と考えられます。
しかしこの治療法のメリットは、何といっても食道を温存でき、手術に伴うリスクも回避できるということです。後で述べますが、食道癌の手術は大手術であり、術後に命にかかわるような合併症をおこす可能性もゼロではありません。合併症の一部には一生機能障害としてついて回るものもあります。特に頚部食道癌の場合には
卵巣がん
喉頭も同時に取ることがあり、その場合には自分の声が出なくなるという、大きな犠牲をはらわなければなりません。放射線化学療法は決してからだに優しい治療ではありませんが、これで治ればこのような機能喪失が回避できるのです。
一方、この治療法の問題点のひとつは、治療により癌がすべて消えたかどうかの判定が難しいことです。放射線により癌細胞は壊死していきますが、生き残った細胞は食道の粘膜面よりもむしろ深いところに存在することが多いのです。ですから放射線化学療法後に内視鏡で生検を行っても、これらの細胞を採取することはでき
卵巣がん
ません。定期的にいろいろな検査を行って、再発していないかどうかをチェックしていく必要があります。不幸にして再発した場合、および60Gyの照射終了時点ですでに明らかに癌が残っていた場合は、次の治療法が問題になってきます。というのは、放射線は同一の部位には60Gyから最大限でも70Gyくらいまでしかあてられないからです。この段階で遠隔転移などがなければ、手術が可能な場合もあります。これをサルベージ(救済)手術といいます。しかし放射線治療後は組織が繊維化で硬くなっており、最初から手術をする場合に比べて格段に手術が難しくなり、したがって手術リスクも大きくなるのです。手術不能の場合は抗癌剤による治療を続
卵巣がん
けて延命をはかるか、緩和治療(苦痛を取り除く治療)を行うことになります。
手術
卵巣がん
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